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平林勇監督
(略)   ・・・平林勇監督   ・・・e-Spirit

CMとショートフィルムは、映像ってところで同じだと思うんですけど。

映像と言ってもCMとショートフィルムと全然違います。CMの良さは、超マスメディアであること。それがすごく魅力ですね。全国で流れて何百万人が見るみたいなところに、やっぱりCMの魅力はありますよね。

ショートフィルムの魅力は?

完全に自分の世界を掘り下げていけること。そして、それを発表するステージが世界規模であることですね。見ている人数っていうのは全然少ないかもしれないですけど、その世界規模という広がり感がすごく好きですね。

監督の作品を、見た人にどう受け取って欲しいのかっていうのがありますか?

作品によって違ってきますけど、ちょっと深刻な重いテーマの時は重く受け取って欲しいし、ただ面白い時には笑って欲しいとは思っています。

ショートムービーを制作されるその中で意識されていることはありますか?

「外国人受けのするツボ」をわりと意識して作っていますね。多少、大味になっても海外で分かるほうを優先して作っています。

国によって違うんですか? それともザックリ日本と世界で違うのですか?

韓国でもヨーロッパでも、会場ですごく笑ってくれるんですね。日本人は少しシャイなのか、会場ではあまり笑ってくれませんね(笑)。 日本で何本か作って海外に持っていって、実際に観客と一緒に見て反応を手ごたえとして感じます。でも危ないところがあって、「ここは笑いのツボじゃない」というところでも笑っていたりするんですよ。だからさっきのとこは本当に面白くて笑ってんのかなって不安な時もあります。それくらい日本とは観客のテンションが違いますね。

それは面白いですね。

見方が広がりました。だから海外ですごく自信をもらったっていう感じはありますね。


ショートムービーの中で、作品の世界観を構築する上で、どういう工夫をされていらっしゃるんですか?

自分さらけ出すんです。これやってしまうと、頭おかしい人って思われるんじゃないかってこともしっかり内容に入れ込んでいかないと、他と差別化できないと思います。
さらけ出すと、さらけ出すのに慣れてくるんですよね。別に大したことじゃないんですけど、本当のところはどうなのかって、この監督は、この作品はって。人が本当に見たいのはそこなんですよね。

「ドロン」という作品で言うと、監督が伝えたかったことをお聞かせください。

ドロンは他の作品と違って、100%エンターテイメントだけで作ってみようって思ったんですね。日本人受けする作品を作ってみようと思って作ったのが。世界のほうが評価が高かったですが。

監督が考えるエンターテイメントってどういうものですか?

まず最後まで見れる。最低限それはいるかなって思うんですね。ショートフィルムなんで10分ぐらいだったら「どれどれ」って状態で人は持つんですよね。10分超えると、もう飽きてくるので。ドロンは16分ぐらいなんですけど、最後までもたせられれば、そこそこいいかなというのはありましたね。わりと構成もすごくベタな法則で作ってるので、人生哲学はまずゼロで、単純に最後まで見て「あー」というような。

結構、笑いの要素が多かったりするんですか?

そうですね。シュールなところもあり、下ネタもありってところですね。

エンターテイメントは、笑いのところに持っていくことが多いですか?

そうでもないですね。笑いは結構、難しいんですよね。ドロンでスペインでグランプリをもらった時に審査員のコメントがあって、真面目な人間ドラマと、コメディのドロンと、その2つのどっちをグランプリにするかって競い合った時に、コメディのほうが作るのが難しいという見解があってグランプリになったんですね。だからコメディの難しさっていうのはすごくありますよね。


平林監督は今後どのようなムービーをとっていきたいのですか?

ただ単にコーラを飲むかのようにさわやかに終わるんじゃなくて、作品の面白さに引きこまれて、さらに心に残る映画ってありますよね。そういうのが作れると一番、理想的ですよね。

音楽でいうとクラシックに近い感じですか? そこまで堅苦しくはない?

そこまで堅苦しくはないですけどね。たまにヨーロッパの映画でもあるんですよね。

CMではどのようなことを気をつけていらっしゃいますか?

とにかく分かりやすいものを意識しています。コタツでおばあちゃんと子供と猫が見ている、そういうお茶の間のイメージをしています。そこにどう届けられるかをいつも考えていますね。

お茶の間と握手できたと感じられたのって、結構あります?

最近はじゃらんCM、あれはお茶の間まで届いたかなっていう感触はありました。

監督は今後どのようなCMを演出していきたいのですか?

ドラマ的なCMをやりたいですね。 通常の僕の仕事だと、グリーンバックで、ここにこれが合成されて、みたいな。そういう企画が多いんですよね。昔の監督はビジコンなんか見ずに演技を見ていたって言いますけど。合成の場所とか見なきゃなんないんで、ビジコンにかじりついて見てます。

だから、カメラ横で演技だけを見ているみたいな、そういう仕事にすごく憧れますけど。 結局、人間の演技とか表情が今の広告では強い気がするので、それを活かしていきたいなと。



「ドロン」
■作品紹介
少し変わったオーディション。面接官を前に、自分をアピールし合格できるのか?
■受賞暦 「ドロン」
2007 グラナダ国際短編映画祭 (スペイン) - グランプリ
2006 釜山アジアン短編映画祭 (韓国) - グランプリ
2007 トロントジャパニーズ短編映画祭(カナダ)・Festival Choice Award
2007 リヨンアジア映画祭(フランス)・2nd Public Award 2007 Bset of Short Film Festival(フランスブロンズの海賞
2007 クレルモンフェラン国際短編映画祭 (フランス) -コンペノミネート・他
■URLはこちら: http://ssl.dai2ntv.jp/cse/Shop?EcLogicName=freeitem.play&itemId=NtvI00016875

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キャスティングのイースピリットがお送りする「クリエーターズインタビュー」広告業界で活躍するクリエーターの貴重なインタビューを掲載。今回は、平林勇さんです。