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関口 現 インタビュー 「とにかくタイミングが大事」
(略)  ・・・関口現  ・・・e-Spirit

まずは映像の仕事を始めるきっかけについてお伺いしたいのですが。

昔から映画が好きで、大学時代には映研とかもやっていて、そんな流れで映像関係の仕事ができればいいと思ってました。

学生時代にはどんな作品を撮っていたんですか?

なんかこむずかしいのを撮ってました。死をテーマにしたりして。

ちょっと意外ですね。現在の監督の作風はとてもポップな感じなので。

自分が作る作品はそうなんですけど、観る分には割とバッドエンディングのものが好きですね。 映画ならスタンリー・キューブリックとか。観た後にスッキリしないような後味悪いやつ。

それも意外です…
監督の作品はテンポがよくて時代のノリをうまく表現しているという印象が強いのですが

うーん、特に意識しているわけではないのですが…。
仕事を始めた頃にセリフの多い作品を手がけることが多くて、テンポよく進めないととても尺に収まらなかったので必然的にそうなったというか…その後も同じような企画が続いて、いつの間にかそれが自分のスタイルになったのかなという気はします。
時代感覚ということに関しては、今の流行りとか若者の好みとかをリサーチするようなことはありません。ですから時々“これって大丈夫なのかな”と不安になることもありますよ。逆に教えてほしいくらいです。

<ドコモ2.0>なども会話のテンポがすごくよくて、やりとりとかちょっとした『間』が 絶妙ですよね。やはりそれは意識されているんですか?

そうですね。間というかタイミングは常に気にしています。撮影現場でも編集でもそこはとてもこだわります。
テレビCMは受け手の環境によって見え方が違ってしまうことがあります。テレビのモニターによって色の見え方も違うし、音も違うかもしれないでも、「タイミング」だけは、どんな状態でも同じように伝わる。だから、そこにはすごくこだわって編集でも時間をかけてます。

現場ではどんな風に演出されるんですか?

基本的には決めたことを決めたとおりに。あえてアドリブを要求するようなこともないです。
役者にはあまり細かいことまでは言いません。ポイントだけ伝えて、あとは自由にやってもらっているつもりです。
ただ、セリフ間の“タイミング”には気を使うので、そこは納得いくまでやりますね。

ほかに演出でこだわっていることはありますか?

作品によってこだわるべきポイントがちがうので、一概には言えないんですが…。
まあ、大の阪神ファンなので、「そこの机の上に虎を置いてほしいな」とか、「この会社の名前はタイガー○○○にしよう」とか、そういう隠し味的なワガママは時々言わせてもらっています。

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「上手にウソをつきたいんですね」

「ライフカード」の“どうなの俺”だったり、富士通のFMVのシリーズだったりどれも、もう一度見たい、続きが見たいと思わせる「仕掛け」が上手だなと感じるのですが。

ストーリー性のある作品が多いので、前後を考えて作るという部分はありますね。
僕の作品はいってみれば「一発ギャグ」よりは「コント」に近い、ちょっと考えないと笑えないようなものが多いので、何度か観ているうちにだんだん面白くなってくるというのはあるかもしれません。

後から効いてくる面白さ、という感じですね。
映画「SURVIVE STYLE 5+」(サバイブスタイル5+)でも、そうした世界観が感じられましたが、初めての映画はいかがでしたか?

初めからそんなに上手にはできないだろうなと思っていたので、きれいにうまく作ろうとするのはやめようと思ってました。デビュー作なら多少へたくそでも許してもらえるだろうと。
いろいろ悩むこともありましたが、最終的には「迷ったら危険な」方の選択肢を選ぶという感じでしたね。

それは、CMを作る時にもそうですか?

いえ、CMに関してはある程度の経験値もあるので、少し慎重に考えてやります。
意外に保守的なんですよ、僕は。

キャスティングについてはどうですか?

そうですね、キャスティングでもそれほど冒険はしないタイプかもしれません。
俳優さんやタレントさんに出てもらう場合でも、「この人がこんな役をやったら…」というのがある程度イメージできる人にお願いします。
想像できないけど面白そうだからやってみるとかは少ないです。現場で演者の方とぶつかりあいながらとか、演者を追い込んで役を作り上げるとか、そうゆうのが苦手で…。
どちらかというと、キャスティングも保守的です。

最近の作品の中でこれはハマッたなというキャスティングはありますか?

「ガスパッチョ」のシリーズですかね。特に、信長編は、ピエール瀧さんをキャスティングできた時に、かなり面白いものになるという感じがありました。

監督の作品は、ありそうでない、でもちょっとあるかも…というギリギリのラインがうまく表現されていますよね。

そうですね。突飛な設定でもどこか本物らしさというかリアリティは出すようにしています。
「非現実の中のリアリティ」ですね。架空の設定の中でもらしく見えるように、こまかなディティールの部分では本物らしさにこだわっています。
いつも「上手にウソ」をつきたいと想いながら作っています。

具体的にはどんな部分ですか?

以前に撮ったアコムの「むじんくん」では、音としては日本人の若者がしゃべる言葉が必要だったんですが、絵としては外人の顔がリアリティを持つと思ったんですね。ハリウッド映画なんかで見慣れてる宇宙人はみんな外人でしたから。で、日本語が上手に話せる外人さんを探したんです。ネイティブのように日本語が話せることにこだわりました。オーデションでいろいろな人にあって、その部分は極めましたね。

これから挑戦してみたいことなどはありますか。

やはり映画はもう一度やってみたいですね。でも、企画とか考えるんですがなかなか根気が続かなくて…でも、機会があれは是非挑戦したいです。

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関口 現(GEN SEKIGUCHI)
CMディレクター
生年月日	1968年2月10日
出身地	埼玉県
出身校	東京大学
	
略歴
1990年 (株)電通プロップス(現:電通テック)入社
2001年 (株)電通テック退社 
現在、(有)ラインバックにて活動中

受賞作
(株)ライフ/ライフカード/カードの切り方が人生だ 「a X'mas night」、「フレッシュマン来たる」、「マドンナ」
	  2006年 ACC CMフェスティバル グランプリ
	  2006年 ACC CMフェスティバル 演出賞
	
東京ガス(株)/ガスパッチョ!/「ピピッとコンロ・信長」 、「マイホーム発電・フレミング」、「床暖房・小野妹子」
	  2006年 ACC CMフェスティバル ゴールド
	
東京海上日動(株) /超保険/THE NOSE
	  2005年 ACC CMフェスティバル シルバー
	  2005年 カンヌ国際広告祭 ショートリスト
	  2005年 ニューヨークフェスティバル銅賞
	
(株)クリスタルジェミー/チェンジシリーズ/Bear's Choice
	  2005年 タイムズアジアパシフィック広告祭 金賞
	
映画「SURVIVE STYLE5+」
	  釜山映画祭 観客賞
	  ファンタジア映画祭 ベストディレクター賞・ベストアジアンフィルム賞・Most Goundbreaking賞
	
	
有限会社ラインバック
	〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-11-1 オランダヒルズ 森タワー RoP 1104
	TEL:03-3431-1815/FAX:03-3431-1825
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クリエーターズインタビュー

キャスティングのイースピリットがお送りする「クリエーターズインタビュー」広告業界で活躍するクリエーターの貴重なインタビューを掲載。今回は、関口現さんです。