キャスティング会社イー・スピリットがお送りするクリエーターズインタビュートップページへ戻る
真田敦 さん インタビュー

(略)  ・・・真田 敦さん  ・・・e-Spirit

真田敦さん

以前、リクルート「とらばーゆ」の TVCF では、一般素人の女性のキャスティングを担当させていただきました。一般の方々の良さ、面白さはどういうところと感じますか?

そうですね、素人には素人の良さがあるけど、コンテなどでコントロールしないとうまくはまらないところがあって、でもコントロールさえすれば良い素材だと思いますね。ほんとに役者の人やエキストラが持ってない良さがにじみ出ていますよね。いい意味のやる気の無さとゆうか ( 笑 ) 、やっぱり自然体ですね。中には自然体じゃない人もいるけど、それは現場でこっちが自然体になるようにコントロールをしていけばすごく良いものが出てくると思うし、素人の人は才能より性格的なものが大半を占めていると思うので、オーディションとかではそこを見るようにしています。

一般の人を起用する際に、気になる点はございますか?演技の面など?

言ってしまえばどこからが素人でどこからがプロっていうのもよくわからないですね。例えばサッカー選手は役者としては当然素人なわけですよね。でも、スポーツ選手ってすごく勘がいいんですよ。演技だけではない、いろんな勘がいい。芝居とか、カメラの前に立つというのも、いろんな勘の部分が大きいと思うんです。勘が良い人、良くない人っていう捉え方をしていますね。勘と言っても難しいと思うんですけど、自分の顔がどう見えているかわかっている人ですかね。

実際に現場で気をつけていることはありますか?雰囲気作りをするなど。

そんなに雰囲気作りはしてないんですが、結構「適当なんだなー」というか、「たいしたこと無いんだなー」みたいな雰囲気にはしようかと思っていますね。 もちろん、毎回毎回そうではないんですが、『ヨーイ、カチンコ、ハイッ』というのは、僕自身も緊張してしまうので、毎回じゃないですが、場合によっては『ハーイ、どうぞー』って言うと、結構『適当だなー』みたいなことを、相手が緊張しているなって時は結構やったりはしますけどね。

これまで真田さんが手がけられた作品を拝見すると、今回ご一緒させていただきました「カラオケUGA」のようなコミカルなものから、ハートフルなものなど、非常に演出幅が広いと感じられるのですが、ご自身がお好きな分野などはございますか?

そうですねえ・・・特にはないですね(笑)。その時によってたぶん違うと思います。基本的にはどれも嫌いじゃないし、どれも苦手ってことですかね(笑)。飽き性なのかもしれないですけど。ずっとトマト味ばっかりだと飽きるし、トマト味じゃないスパゲティも当然食べたいし、和食だって食べたいし。その中でおいしいものを食べたいし。和食の中でも安い定食だって食べたいと思っているし。そのときの気分だと思うんですけど、和食が好きって言っても、朝から会席料理は食べたいとも思わないし、その時の気分です。

演出の軸になっていることは?

その仕事にとって一番いい表現ができれば、と思っています。そのCMにとって、シンミリしたのがいいと思えばシンミリ作るし、そのCMにとってクスッとしたほうがよければクスッとしたのを作るとか。クスッとしたものを作ったほうがいい時に自分が好きだからといって、他の表現にはしないようにしていますけどね。

全くシチュエーションも、タッチも違う作品を手がける際、どのようにしてスイッチを切り替えられるのですか? 『切り替えようがない場所、やりづらい場所でやる。』

結構難しいときありますよね。昔、ショートフィルムで、「いぬのえいが『ねえ、マリモ』」という、比較的シンミリしたものなんですが、その絵コンテを描いている時に、キリンビバレッジ「生茶」を並行してやっていたんですよ。これは、結構切り替えが難しかったですね。 いろんな方法があると思うんですが、意外と喫茶店でコンテ書くんです。切り替えようがない場所でやる、みたいな。あんまり切り替えとか関係ない、ガチャガチャした場所でやるんです。静かなところだと、逆に切り替えのほうが気になっちゃって、できないような気がちょっとしちゃうかな。一日に喫茶店何軒も行きますね(笑) 。もういろんな所に、一日十軒近く行っています! 外でやるのは、逆に「家がやりづらい」に近いですね。自宅を、自分がやりやすいように作った場合は、たぶん明らかにいろんなことがやりやすいと思うんですよ。当然テレビがあったり、布団がひいてあったり、当然テレビ見たりとかもある。だから、やりづらいところでやっていますね。

演出を考える際、なにか調べ物はされますか?

そうですね、あまりしないですね。その時々ですけど、あまり見ないようにしています。先入観がつかないように、ですね。 まずは調べるより考えるようにしますね。考えたり、思い出したりとか。確認の意味で、後で資料を見ることはありますけど。 『いぬのえいが』のときも、犬のリサーチをしなかったですし、飼ったこともないんですが、全く犬を飼ってないといっても犬を見たことはあるし、知り合いが飼っていたりもするんで、当然知っていたりとか、記憶の中に当然犬はいるわけで、まずはそういうところを考えます。 昔、バスケットのCMとかやったんですけど、当然バスケットを全然知らなくて、でもやっぱりどこかしらで見ていたりもするんで、想像で考えて、後は確認の意味で試合のビデオ見たりとかしましたけどね。「ああ、こういうのももしかしたらアリなのかな」とか付け加えることもありますね。そのまま資料から引っ張ってくることはあまりしないです。

演出コンテを描かれる際は、どういう作業から入られるのですか?

自分でどこまで理解できるかって作業をちゃんとしますね。理解できるかというか、一回自分の中にどういうふうに取り込めるか、っていうことをやりますね。取り込めないところは変えることも当然あるし、プランナーの方に、「ここを変えてもいいですか?」って聞いたりとかします。変えられない場合はそこの意味をもうちょっと聞いたりとかですね。毎回毎回違いますけどね。

いろいろ作品がある中で一番思い入れがあったり、お気に入りは何かございますか?

今までやったものの中で、思い入れがあるとか、好きとか、そういうのはあまり思わないようにしています。一番新しいものが一番好きになる、くらいの気持ちで作業している、というのが近いですかね。ある意味、終わったものは終わったっていうふうに思います。全く好きな作品がないってことではないですが、あまり思わないようにしていますね。昔の見ると結構恥ずかしかったりするんですよ。 たぶんそのときは気づいていなかったこととかもあると思うんですけど、一年経って見たときに、こここうしておけばよかったかなぁ、なんて思うこともありますね。 メイクとかもそうじゃないですか!?昔の見るとすごい太い眉毛だったりして(笑)、でもその当時は本人も、誰も何も思ってなくて。その時の自分をある意味好きかもしれないし、でも好きじゃない部分ってやっぱりあったりして。昔を好きでも、今のほうが好きと思いたい、といった感じですかね。

キャスティングに求めることは何ですか? キャストの可能性や面白がり方をキャスティングの人と共有できればいいなと思う。

そうですね、結構いろんな人に可能性がすごくあると思っていて、いろんな役に、いろんな人が可能性あると思っています。それが、しゃべりや演技が駄目という理由で、すごく狭い幅の中で選ぶより、もうちょっと広い中で選べたりできないのかな、ってすごく思います。 そういう部分での面白がり方をキャスティングの人と共有できればいいな、ってすごく思いますね。 例えば、『歳は若いけどこうゆう面白がり方がありますよ』みたいなことがもしあれば、可能性はすごく広がると思いますね。ただ集めるだけじゃなくて、お互いにいろんな思いがあって、それは話をしていて出てくるかなと思っていますね。そういう部分でコミュニケーションがとれるといいなって思います。

映画とか、CM以外の仕事は今後されないんですか?

チャンスがあれば、とは思っていますけど。映画は長いという印象が・・・。長いものを作るには結構それなりの準備とか、いろいろとしないと難しいかなとは思っています。CMの仕事延長線上で簡単につくることは当然できないと思いますし、全然考え方とか変えて、ちゃんとやらないと難しいかな、と思います。期間も長いですから、体力的なものもありますよね。

作品のこだわりや譲れないものってありますか?

そんなにはこだわってないですね、全くこだわってないこともないですけど。 ただその時々にならないとわからないし、今コレとは言えないですね。思い出せないですね。毎回毎回の作品でも違いますし、その瞬間、瞬間でしかないと思っているんです。 結構演出コンテとかを描くじゃないですか、そして、出来上がるじゃないですか、その時、『なぜこういう演出コンテを書いたのか?』とか、『なぜこの順番にしたのか?』とか思い出せないことがあるんですよ。なぜそうしたのかわからないときがあるんですよ。たぶん描いている時には確実にそっちのほうがいいと思って描いたんでしょうけど、その瞬間は何か自分でこだわりがあったんでしょうけど、思い出せないんですよ。たぶん描いている時のテンションでしか浮かばないんだと思うんです、こだわっていることとか。 だから本当の「こだわり」は、説明しづらい。人間でも、目が好きとか、眉毛が好きとか、そういうことは全然言えるんですけど、「それ以外でどこが気に入ったんですか?」って言われると、なかなか言葉にできないですよね。いわば、感覚ですね。

キャストを決めていく時はいかがですか?

キャスト決める時は、「この人の、この部分を引き出せればこれは成立する」、とか考えますね。その人を選ぶには、この部分を出さないと成立しないのかな、とか思ったり、どうしようかなと思っている。



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