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観る人を意識したらそれはデザイン |
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芳賀さんは武蔵野美術大学映像学科を卒業されていますが、いつ頃から映像に興味を持ち始めたのですか? 小学生の頃から映画は好きでしたね。特にスプラッタ系のホラー映画。それも、ストーリーがしっかりしているものや、ハリウッド映画のような大作よりも、少し変わったものが好きでした特に「バスケットケース」という映画は印象的でした。今考えると「ホラー映画」って、ある種のデザインなんですよね。 「ホラー映画はデザイン!?」。なかなか印象的な言葉ですね。 基本的にデザインは、何かを相手に伝えるものなんです。グラフィックでも車のデザインでも、ターゲットにあわせて、機能、パッケージ、値段など様々な要素を組み合わせながら形作られていきますよね。 小学生のときに「スプラッタ系ホラー映画」が好きだった少年は、その後は映像制作を目標に一直線だったんですか? いや、最初は普通の大学に行くつもりでした。高校の途中くらいまではかなり勉強もできていたし、大学くらい受かるだろうと思っていましたそれが、高校2年生くらいから燃え尽き症候群というか、勉強に飽きちゃって。遊びまくっていたら、一浪しちゃったんですそこから一ヶ月くらい家にこもって「自分はなにができるのか、なにがしたいのか」ってよく考えてみたんです。 |

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成功も失敗も経験。その経験が蓄積されて勘になる |
それでは、現在の話をお伺いしていきます。芳賀さんが作品を作るときに、心掛けていることなどはありますか? 予定調和にならないようしたいと思っています。例えばお笑いなんかでも、こうしておけば面白いっていう予定調和みたいなものがあるでしょう。広告でもそれがあって、こういう人たちをキャスティングして、こんな組み合わせで、こんなセリフを話すみたいな部分があるんです。もちろん、それが悪いわけではないし、得意なクリエーターの人もいます。まあ、得意な人がいるから、僕はその分野でやらなくてもいいかな。むしろ、今までにやったことがないような展開や面白さを求めますね。 これまでにない新しいものをつくるときは、なにを基準に判断しているのでしょうか? 勘ですね。ただ山勘というよりも、経験の蓄積としての勘。全部の仕事でできるわけではないけれど、新しい仕事の時には、チャンスがあればできるだけなにかしら新しいことをやってみるんです。そうすると、どういったことにチャレンジすると成功するのか、または失敗するのがわかってきます。 最近の作品で、新しいことをできたなと感じたものはありますか? エステーさんの「脱臭炭」なんかはそうですね。企画の根幹は「炭の力を信じる」部分にあるんです。本気で信じることをどう表現するかを考えて、行きついたのが祭り。祭って、神様を信じているという筋が通っているからこそ、現代にはそぐわない荒々しい神事がまかり通るでしょう。 その伝説、正直興味あります。 村にものすごい臭いやつがいたんですよ。すごく臭くてニオイの妖怪になってしまったの。そいつを助けるために話し合ってたら、村の長老が「山のご神木を炭にして脱臭しよう」と。ご神木を炭にして妖怪を倒すと、元の人間にもどってめでたしめでたし。その逸話以来、2000年間続いている祭りなんです。こんな内容を、夜中まで大の大人が会議しながら決めているんですよ(笑) |

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CM ミュージックビデオ、映画、全ては同じ直線上です |
芳賀さんはCMだけではなく、平井堅さんや奥田民生さんのミュージッククリップを手がけたり、最近ではDVD「スマートモテリーマン講座」の構成・演出もされたりしています。ご自身の中では、CMとミュージックビデオ、映画やDVDなど、映像によって区切っているんですか?それとも同じ直線上にあるんですか? 同じ直線上ですね。分かりやすく言うと、スポーツとしては同じだけれども、競技が違うという感じ。マラソンと50mと幅跳びと。CMは幅跳びかな。ただ、どの競技でも、走る姿勢や基礎体力などの基本は作らなくてはいけない。それと同じで、映像でも知識や新しいことを維持していかなくてはいけないですよね。 今後はどういった映像への関わり方を考えているのか教えていただいてもいいですか? 映画は魅力的ですね。それも、漫画などの原作があってビジネス的に成立するものよりも、0から始めて、得体の知れないものを生み出したい。自分の中にあるものを具現化したいという意味では、ある意味アートですよね。 |


