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ディレクターズ・ファーム
一軒家で共同生活中 一軒家で共同生活中
(略)  ・・・ディレクターズ・ファーム   ・・・e-Spirit

まずディレクターズ・ファームとはどのようなグループなのかを聞かせてください。

簡単にいうと、映像ディレクター集団のディレクターズ・ギルドの弟子なんです。もともと、結成当初からギルドは若手の人材育成もしていきたいとう目標を持っていたそうなんですね。そこでファームが作られることとなり、柳沢、朝日、長部が一期生として試験を受けて、その後メンバーが増えて現在に至ります。

ほとんどのメンバーがファームに入ってびっくりするのが、会社員ではないので給料ゼロというところ。つまり、仕事を取ってこない限りずっと給料ゼロ円。私たちが育つための基礎訓練だったと思うんですけれども、当時はなかなかスパルタなところだなあと思っていました。

それは大変ですね、非常に昭和的といいますか。

自分で仕事を取ってこないと、自分の映像、作品を作る機会が作れない。仕事を取るためには、仕事を頼みたいと思ってもらわないといけない。そのためには、実力をつけなければならない。ではどうするか…、と常に考えて動いています。
大変な部分もありますが、ディレクターとして素早く成長していくためには、この環境は適していると思うんです。

現在は、みなさんで「ファーム荘」で共同生活をされているんですね。

年始にファームで小旅行をした時にみんなで深夜まで熱く映像の話をしたんです。演出家として僕たちが今、何をしないといけないのか、といった話をとことん話しあいました。

その時の、みんなで熱く映像について話したり、演出について話したりしている空気感がすごくよかったんですよ。自分の意見を言うことで頭の中を整理できるし、みんなの意見を聞くことで新たな考え方が生まれる。

旅行をきっかけに、そういった場を頻繁につくりたいねって話になり、だったら期間限定で一軒家を借りてみんなで住んでみない?ってことになりました。
演出家、みんなで住むってちょっとおもしろいかもね、って盛り上がって。
一軒家があれば、多くの人との交流の場としても使えるし、そういったことは人生の中で今の時期しかできないですし。

24時間、意見交換をしてお互いを刺激する空間、映像に集中できる環境。このファーム荘は「鍛えるための場所」という位置づけです。全員がフリーだからこそ、一緒に住めるのかなと思っています。

お互い切磋琢磨し合える場所なんですね。

そうですね。メンバーの仕事の進め方が非常に参考になったりします。自分では思い付くことがない発想や企画を生み出しているところを見ると、とてもプレッシャーを感じます。そして、自分も面白いものを作りたいというやる気が湧いてくる。
リビングで誰かに会うと、仕事の情報交換をしたり、最近見たCMやMV、映画やドラマの話で盛り上がる、ということが、ほぼ毎日起きています。とはいえ、この頃は全員が揃うことはあまりないんです。仕事も時間もバラバラなので、月に1回くらいでしょうか。ある夜、偶然集合したりすると、いろいろな映像を見合ったり、時間も忘れて話し込んだりしています。

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そういえば、 お互いを刺激し合う「ファーム荘」

ファームの皆さんはお仕事はどのような流れなんですか?

細かいところは個々で違いますが、最初はどこに行ってもアウェイなのは変わりません。「企画やってください」と呼ばれて、企画を見せて、良かったら次に呼んでもらえるし、ダメだったらそこでラインは終ってしまうし。

まさにサバイバルですね。

私たちはギルドのように、実績があってフリーになったというわけではなく、最初からフリーなので、全く地盤がないんですね。だからこそ、毎回、毎回がやり直しがきかない真剣勝負だと思って、企画や映像を作っているんです。

共同生活をしていると、お互いの作品が影響されたり、似てきてしまったりはしませんか?

いや、逆に意識して似ないようにしています。確かに、僕たちのコアにある「内容のある、面白い、価値のある映像を作りたい、見てもらいたい」という思いは共通しています。
でも、メンバーがやっていることと同じものはできないんですよ。みんなの作品は素晴らしい。けれども決して真似はできない。だから、自分のなかのストックから出してきて、それを作るしかないんです。

制作を助け合ったりなどはしないのですか?

演出コンテを書いていて相談する、とかは普通にあるんですが、そこまでですね。ディレクターなので、作品を仕上げる最後は一人の作業です。たまに、尺の関係でセリフが必要になったときに、ほかのメンバーが、秒数を数えながら演技をしてくれたりはします。そういうときは、すごくありがたいと思っています。

メンバー同士、一緒に暮らしていて仲がいいんですけれども、やっぱりライバルなんですね。その部分は結成された当初からずっと変わることなくて、作品が似てしまうことは恥であるし、相手の作品を見ないというのも恥だと思っています。

でも、制作が終るといつも、カンパケたメンバーの作品を見ながら、辛辣に、でもわいわい言い合ってます。この場はとても貴重だなと思っています。


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バカの壁の中はカラッポでした。 ディレクターズ・ファームからの発信

これからのディレクターズ・ファームは、どのような進み方をするのですか?

自分たちで好きなことをやっていけるというのは、フリーである僕らの最大の強みですね。フットワークも軽いし、なんでもできるから、この強みを生かして自分たちが作ったものなどを発信できる仕組みも構築していきたいです。

自由にいろいろなものが作れるというのは強いですね。

インターネットのように、好きなものだけを、好きなだけ見られるメディアが増えていくと、今後、大切になるのは「ブランド」になると考えています。どのようなジャンル、メディアでも「この人なら作れる」と思ってもらえるという信用が、ブランドに直結するんですね。
「この人、○○は上手なんだけど、それ以外はなぁ」ではなく、「この人にお願いすれば、安心できる」というような。

だから、個性を磨くのはメンバー個々でやって、ディレクターズ・ファームは、その個性に信用をプラスできる場として機能させたいんです。

今後、ファームとしてなにをしていきたいですか。

CMはまず広告主ありきでそこに制作物がある。そうではなくてゼロから、ファームから発信するものを作りたいと考えています。こちらからなにかを仕掛けていきたいですね。
たとえば、設定だけ同一にして、メンバー全員でオムニバスのショートムービーを作ってみたり。

相手のニーズを上回る映像を作れることはもちろん、こちらから提案や発信もできる集団になりたいと思っています。

広告にとっては厳しい時代ですが、今後は、テレビじゃなくても「映像」というキーワードでいろいろなものを作れる、僕たち映像ディレクターにとっては、チャンスが多くなる時代だとも思っているんです。そのチャンスをファーム全体で、掴んでいきたいですね。

11月更新も引き続きディレクターズファームメンバーをご紹介していきます。

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キャスティングのイースピリットがお送りする「クリエーターズインタビュー」広告業界で活躍するクリエーターの貴重なインタビューを掲載。今回は、神原秀樹さんです。