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針生悠伺氏 インタビュー
原点は、ストリートカルチャー 原点は、ストリートカルチャー
(略)  ・・・針生悠伺氏   ・・・e-Spirit

幼少期はどんな子どもでしたか?

普通に明るい子ども…って感じでした(笑)。高校くらいからストリートカルチャーに興味を持って、スケートボードとパンクバンドに夢中でしたね。将来のこともまだ特に考えていなくて、そのとき楽しいことをしている、どこにでもいる学生でした。

映像に興味を持ったのはいつからですか?

大学では理工学部に入っていたのですが、スケートボードのビデオを見たり、関連の音楽を聴いたりしながら、純粋に「かっこいいなあ」って思っていました。そんなとき、先輩でVJをしている方がいて、「こういう映像にワクワクする」という話をしていたら「作ってみる?」と誘っていただき、見よう見まねで作るようになったのがきっかけです。

大学在学中にMTVにインターンシップをされたようですが。

MTVではストリートのコンテンツが多かったのですが、そういった番組が好きでずっと見ていた際、インターンシップの募集を見つけて応募をしてみました。自分の場合、パソコンも大学に入ってから触ったほどなので、同じ年齢の学生がどれくらいのレベルで映像を作っているのかを見てみたいというのがインターンシップを希望した大きな理由の一つですね。そのときにこっそり出したステーションIDコンテスト(2005)で特別賞を受賞したことがきっかけとなり、インターンシップ後もそのままMTVで働かせてもらえることになりました。

MTV時代、印象的だった仕事は何でしたか?

優れたミュージックビデオを表彰する国際的音楽授賞式「MTV VMAJ」です。最初に会場で見たのがインターン時代だったのですが、「いつかこのようなクリエイティブをやりたいな」と思わせてくれたイベントでした。番組としても、クリエイティブの質の高さが世界的に認知されていることもありますし、実際に映像制作に携わって 会場で自分の作品が流れているのを見たときは鳥肌が立ちましたね。


マッピングを用いた「TOKYO STATION VISION」「SUBARU 新型FORESTER」 マッピングを用いた「TOKYO STATION VISION」「SUBARU 新型FORESTER」

2012年からPICS所属になり「東京駅丸の内駅舎保存・復原工事 完成記念プロジェクションマッピング TOKYO STATION VISION」というビックプロジェクトに参加されましたね。

東京駅を舞台に、現代の駅にまつわるものをアニメーションで表現するというもので、諏澤プロデューサーに声をかけてもらって参加することになったのですが、実際マッピング※の手法で映像を作るのは初めてでした。これまでの様に作った映像が画面の中でO.Aされる、という事とは違い、映像を映し出すキャンバスがあの大きな東京駅になる、というのは、自分にとっても大きな挑戦でした。

※映像をプロジェクターによって直接建築物や車、家具、 自然物などに投影する表現手法

針生さんの制作過程について教えて下さい

大きな流れは総合演出であるNHKエンタープライズの森内さんが作られ、僕を入れて5人のディレクターが約2分の担当パートを各自制作しました。僕のパートはSuicaの「ピッ」という音を使い、リズミカルに現代の駅の様子を表現できるように仕上げました。あとはアニメーションで人間の手を入れたことで、フルCGだけど温かみも出たかなと思います。実際に会場で子どもが「あ、suicaだ!」と反応してくれたことは嬉しかったですね。
今まで大勢の人が集まるイベントにはいくつか関わってきましたが、自分たちの作った映像にここまで人が集まってくれたのは本当に感動的でした。このプロジェクトは映像そのものがエンターテイメントのコンテンツとして成り立っていて、映像の可能性を感じた作品でした。

TOKYO STATION VISION

TOKYO STATION VISION

「SUBARU 新型FORESTER」も同じマッピングではあるものの、車をメインにしてどう表現するかがポイントになると思いますが、違いはありましたか?

「SUBARU 新型FORESTER」は一つの大きなコンテンツの中にマッピングの要素も含ませたものにしようと思いました。車へのマッピングだけではなく、あえて背景の白い壁を大胆に使い、スポットライトを当てる様な演出を加えたりタイヤを組み立てる様子を表現したりと、見ている人が違和感なく自然に映像に入り込めるように工夫しています。あと、車や機械が出てくる映像とはいえ、無機質な印象になってしまわないように、動きや音楽でエモーショナルなものを感じられるように追及しました。

SUBARU 新型FORESTER

ターゲットは、普通の生活を送っていた昔の自分 ターゲットは、普通の生活を送っていた昔の自分

針生さんの作品の特徴を教えてください。

面白さとリズム感がぎゅっと混ざりあうことですかね・・・。

では、映像を作る上で、大切にしていることはありますか?

どのジャンルでも、奇をてらったものではなく、みんなが楽しめるものにしたいなと思っています。原点は、昔の自分なんです。特に芸術的な感性があるわけでもなく、何となく楽しいことして毎日を普通に過ごして…という自分が「おもしろいなあ」「なんかいいな」って思えるものを作りたい。
だから、見たことのない「なにこれ」じゃなく、普段の生活とか、普通に話していておもしろいこととか、そういうものの中でのアイディアを大切にしています。

キャストに対してはどういうポイントで見ていますか?

その人が目立ちすぎるのでなく、全体で良いムードになるキャスト選びをしたいです。なので、違和感なく、自然に映像にはまるようなタイプを好むように思います。

因みにキャスティングに対しては?

何人か出演する場合は、やはり全体を見て良い雰囲気が出るような提案をしていただきたいです。一緒に打ち合わせをする中で僕もそのことを伝えたいし、感じてもらいたいですね。

今後の目標や挑戦していきたいことはありますか?

媒体は意識していませんが、音楽的な要素であったりユーモアであったり、そういったこれまでやってきたことを捨てずに、ちょっとずつ積み上げたいというのはありますね。あとは、映画とか、長いものにも挑戦したいですね。例えば万人ウケするもので・・・初デートに使える映画とか(笑)。見てくれる人にとって読後感のいいものを作っていきたいです。

ありがとうございました!



針生悠伺氏
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クリエーターズインタビュー

2013年からは『ヤングクリエーターズインタビュー』をお届け致します。
第2回目はP.I.C.S針生悠伺さんを
インタビュー!