TOPPAGE
大釜友美氏 インタビュー
映像をはじめたきっかけは、レンタルビデオショップへのお出かけ。 映像をはじめたきっかけは、レンタルビデオショップへのお出かけ。
(略)  ・・・大釜友美氏   ・・・e-Spirit

映像の世界に興味を持ったきっかけから教えて下さい。

映像に興味をもったきっかけを思い出すと、兄について行ってレンタルビデオを借りに行くシーンなんです。兄が映画を借りに親に車で送ってもらうのについて行って、私も映画を借りて、来週返しにいく時にまた借りてってやっていたら、映画が好きになっていました。田舎でしたから、レンタルビデオショップは立派なお出かけスポットだったんです(笑)
最初は洋画から観始めましたが、だんだん日本の監督の作品を観るようになって。映画を作るっていうのがどんどん身近なものになり始めました。こんな映画を作る人になれたらなあ…なんて漠然と思っていました。だから、大学で映像学科に入り、映画を撮って過ごしていました。

初めて撮った作品を教えてください。

大学の頃、背の小さい男の子のお話を作りました。なんとなくイメージした主人公を思い描いて脚本を書いて、いざ出演する人を決めるときに「…どうしたらいいんだろう」って気づいたんです。いわゆるキャスティングですよね。
大学のカフェでたまに見かける男の子がいて、彼がイメージにぴったりだったので「映画撮るんですけど…、でてくれませんかね?」ってアプローチ。はじめは演技なんてやったことないからって断られたのですが、「できない方がいいです!」って、強引にお願いして出演OKをもらいました。これが私のキャスティング初体験なんです。

映画からCMディレクターへ。

大学院時代、映画のショートフィルムのメイキングを撮りに行く仕事があったんです。その時、監督をされていたのが、CMディレクターの方でした。はじめて見るプロの現場ですごく楽しかったですし、その監督の作品集をみて、観たことのあるCMが多くて。当時、映画に行くんだろうなと私自身思っていましたが、CMという選択肢がでてきたのは、この経験からだったと思います。その後、新卒でドマーニに入社し、1年は制作、半年間企画演出を担当。そして、ADKアーツ企画・演出部にきました。


自然な雰囲気が共感のポイントになる。 自然な雰囲気が共感のポイントになる。

JAC リマーカブル・ディレクター・オブ・ザ・イヤー2009 ファイナリスト作品『棒高跳び』見させていただきました。人間の心理を上手く表現した非常に良い作品だと感じました。

ありがとうございます!みなさんも経験あると思うんですが、コミュニケーションにおいて、越えなければいけないものや一歩踏み出す勇気って必要になってくるはずなんです。それを棒高跳びで表現させていただきました。実は高跳びの棒、私の手作りなんです。撮影の早朝に折れて大トラブルになった…なんてエピソードも今となっては思い出ですね(笑)折れたのでよく見ると短いです。

発想の源はなんですか?

ひらめきが多いです(笑)JACリマーカブル・ディレクター・オブ・ザ・イヤー2010の『マナー』の時は、マナーを題材にした作品って色々ありすぎて、他と似てしまうから悩んでいたんです。マナー違反はダメということをわかっている前提で、逆に褒めてやろう!という逆転の発想がひらめきました。

ベテランのディレクターと違い、良い意味でまだ色が付いていないため、どんなオーダーにも対応できている作品を作られているなと感じています。

今はとにかく何にでも挑戦しています。だんだん「こんなことがやりたい」が通るようになってきている面白さもありますし、いろいろ挑戦させてもらうことで、表現の選択肢の幅が少しずつ広がっているように感じます。迷うことも多いですが、試行錯誤して形になっていく、いい作品ができたと自分で思えて、他の方からも「いいね!」って言ってもらえたときに演出の仕事について良かったなと思います。

一般の方が出演しているものに「TOSHIBA(二次電池SCiB)や「Aprica(AirRia)」などがありますが、エピソードを教えて下さい。

「TOSHIBA」は、電池バスが走る岩手県宮古市を舞台に、宮古の方たちに出演してもらおうという企画で。地元の方にプロデューサーが直接アポイントを取って出てくれる人を決めていきました。ロケハン時にも、良いなと思った方には直接「出てください!」とお願いして。撮影の時に現場に見に来ていた出演者の親戚の方達も、そのまま巻き込んで出演してもらいました。予想外なことが起こる方が、出てくれる人も楽しんでいい顔になってくれるし、現場も盛り上がります。そういうことが、カットに出てくると思うんです。あと、みんな、素人さんなのでいざ「本番です」なんてカメラを向けると、緊張して構えた顔になってしまうんですよね。
私も逆の立場だったら、絶対いい顔はできないタイプですので気持ちはすごい分かります。なので、練習中の段階からカメラを回しておき、自然な表情を狙おうと…、これは大正解でした。実際使った映像で、練習テイクのものが結構ありました。いい出会いが沢山あって、楽しい撮影でした。

「Aprica」は、もともと実際に働いている研究員小寺宏和さんの仕事に向き合う姿勢を撮ろうという企画でした。小寺さんは初演技だったんですが、色々とこちらの要望を聞いて頂いて、ベビーカーの研究に熱心に打ち込む少しとぼけた研究員をうまく演じて頂いたなと思っています。



難しいから面白い。 難しいから面白い。

オーディションやキャスティングで心掛けていることはありますか?

「TOSHIBA」でもそうでしたけど、その人の魅力を感じる自然な表情って強いと考えています。構えた顔じゃなく、その人らしさがふっとでる瞬間を撮っていきたい。そういう瞬間こそが、観ている人の心を動かすんだと感じています。オーディションのときも、もちろん演技をしてもらうのですが、私が重きを置いているのはその後ふいに笑った表情だったり、周囲へのちょっとした振る舞い方の雰囲気なのかもしれません。間違えた時に笑った顔やリアクションがいいと、○って書いちゃいます。

今後の目標を教えてください。

まだまだ作ることで精一杯ですが、だんだんと、それがどう人に届くかに興味が湧いてきました。見る人の感性や育った環境によっても好みが違うんだなあ…なんていうことが改めて面白く感じたり。難しいから面白いし、簡単にうまく行かないから、学ぶことも多いです。これまでのものも大切にしながら、役者さんに演技を付けるような物語のある作品にもっともっと関わっていきたいですし、長尺の作品も撮ってみたいです!

ありがとうございました!



大釜友美氏
up

クリエーターズインタビュー

2013年からは『ヤングクリエーターズインタビュー』をお届け致します。
第5回目は大釜友美さんをインタビュー!