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泉田岳氏 インタビュー
世界で認められたPV 世界で認められたPV
(略)  ・・・泉田岳氏   ・・・e-Spirit

泉田さんの子どもの頃を教えて下さい。

物心ついた時からばりばりのテレビっ子で、暇な時間は全てテレビに捧げてました。そんな中で流れるCMもおもしろいなあと思っていました。

大学ではデザインを専攻されていたということですが。

最初は美大でグラフィックをやっていて、その流れのまま「デザイナーとかになるのかなぁ」なんて思っていました。ただ、僕の就職活動当時は東日本大震災の直後で採用が一時停止になっていて、その間に「なぜ自分はグラフィックなのか?」というようなことを改めて考えたんです。結局、自分は映像を作ろうと思いました。

なぜ「映像」だったのですか?

地震があって当時のクリエイター達は自分なりにこの問題にどう向き合うかってスゴく考えたと思うんですよね。先ほども述べた通り、僕も将来はグラフィックやるんだろうなあと思っていたのでそう言う方々の「答え方」に注目していたんです。そんな時、大学の先輩であるやっさん(ヤスダタカヒロ)が作った地震と全く関係のない映像作品のお手伝いをさせていただき、その映像がvimeoで220 PVされたんですよ。コメント欄には「日本からいいニュースが届いたぜ! 「日本は今大変だけど若いクリエイターは頑張ってるぜ!」っていうのが溢れていて。ものすごく救われたんですよね。何よりもポジティブなメッセージの出し方が業界の端っこにいる僕らにもできて、それは映像だったと。「じゃあ節電ポスター作るくらいなら映像やろう」って決めました。


若手クリエイターの登竜門2タイトルをGET 若手クリエイターの登竜門2タイトルをGET

実は事前に、御社の某プロデューサーさんに泉田さんのことをリサーチしていたのですが「演出だけにとらわれず、制作全体を見ている。協調性があり、無茶がない。アイディアを振り絞ることができる」と大絶賛でした。

それは嬉しい言葉ですね、ありがとうございます。撮影が終わる度にスタッフにお金を払っておいたかいがありました(笑) 実際この世界に入ってみて、撮影をするにあたって制約は必ず出てくることがわかりました。
でも僕だってもう学生じゃなくちゃんとしたサラリーマンですから!そんな事は当たり前として当初の予定、やりたい事を崩さずに解決案を出すのがディレクターとしての一つの力量だと先輩方を見て感じたんです。 アイディアさえあればどんな状況でも大丈夫だと思える自分がいないと本当精神的にきついんで。そういうことがさらーっとかっこ良くできる人になりたいなぁと思っています。

遅くなりましたが、リマーカブル・ディレクター・オブ・ザ・イヤー2012受賞と、ACC カンヌライオンズ「ヤング クリエイティブ コンペティション」ファイナリスト、おめでとうございます!工夫を施した点やアイディアという視点からそれぞれの作品を教えて下さい。

リマーカブルを受賞した『有島君は今、屋上にいる。』は、さきほどの制約の話ではないですが、入社したての一年生だけでやったので「お金無い」「時間無い」「カメラマンの友達とかいない」「まず作品を作った事が無い」と制約の森みたいな状況だったので、天気もキャストの少なさも全部担保して、撮影日当日がどんな条件でもいいように考えて作った作品です。
エキストラは素人でいい。むしろ一般の中学生がいい。制服着て学校だとリアリティは出るかもしれないけど、本物を使ってにじみ出るリアルにはこだわりました。 この年の前後のテーマが「マナー」とか「自殺防止」といった、ある意味答えが出ているものだったのですが、僕がエントリーした年は「嘘」「笑顔 「親父」という、答え方を問う形で考える幅があったのは自分に向いていたと思います。

一方カンヌは「地球温暖化防止という、答えが出ているテーマでしたね。

そうですね。今度は逆にそこを利用しようと考えました。温暖化を食い止める為に使わない電気は消しましょうねというストーリーは、いわば見飽きている。だからこそ、「電気を消す話しだよ。」「消すと今まで見えなかった明りが見えるよ」「素敵だね」として、「ああこのパターンか」と思わせながら、ふいにそこから離れることでインパクトを与えたかった。
その方がこの問題に対して色んな人が振り向いてくれるんじゃ無いかって思ったんです。じゃあ倫理から一番離れたものは何だろう?殺人だ!という。 こっちでも、手持ちのカメラしか使えないため画像がキレイではないから、じゃああえて不鮮明な監視カメラにしようとか、キャストは帽子をかぶらせてしまえば誰でもいいもなるだろうとか、出来ないことを潰してかかりました。

第16回「アジア太平洋広告祭」(アドフェスト2013)に出展した「Transcendent Love」もニューディレクター部門のブロンズに入っています。

“点と点”を人間関係やその連鎖で表現したいと思ったことと、世界中の人をターゲットとしたフェスティバルなんだからタブーに挑戦したいと思いました。世界に共通する人間関係の形は愛。
の中でも、異性愛より同性愛、さらに衝撃的にするには宗教で、閉ざされている仏道に入っている人…と、タブーを追求していきましたね。そして、タブーだとわかっていながらも、愛によってその枠を超えようというメッセージを込めました。



「制作部出身」が自分の武器になっている 制限や不自由なども楽しんでいきたい

キャスティングやオーディションに関してはいかがですか?

ディレクターとして初めて手掛けたCMで、出演者を決めるためにオーディションをしました。演技の上手い人もいたし、上手く演じようとする人も、さほど演技が上手くない人もいて。僕は一番「〜っぽい人」を選びました。「〜っぽい」さえ当てはまっていたら、そこからは僕が設定を与えたりしてやってもらう感じで。
ちょっと話が変わるのですが、カメラを引きで、主役の後ろにエキストラが動いている設定のシーンありますよね。あのときにエキストラの方々を動かすことがすごい好きなんです(笑)何秒間で止まって手を振ってとか、近寄ってくるのではなく離れてとか。 僕は生活をさせているのだけれど気配を消すという点にかなりこだわります。なんかわかんないけど好きなんですよね(笑)。何の話ですか、コレ?

最後に、今後についてお願いします。

今はCMというよりもコンペやフェスなどの作品作りを多くやらせていただき、ある程度自分の色で作れているので、かなり恵まれていますね。
だからと言って仕事で好き放題やりたいというのはなく、制限や不自由なども楽しみながら、ニュートラルに取り組んでいきたいなと思っています。

ありがとうございました!

インタビュー/2013年6月




泉田岳氏
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クリエーターズインタビュー

2013年からは『ヤングクリエーターズインタビュー』をお届け致します。
第6回目は泉田岳さんをインタビュー!