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三浦 和徳氏 インタビュー
(略)  ・・・三浦 和徳氏   ・・・e-Spirit

小さい頃はどんな少年でした?

怪獣映画が好きで、小学校1年のときにはもう「特撮監督になりたい」と思っていました。 中学生の頃くらいにMACが出てきて、imovieが5分おきに止まるような時代でしたけど、そんな環境でもめげずにアクション映画を撮ったり怪獣映画を撮ったり、 要は自主制作をしていました。

ただ、大学では建築を専攻されたとのことですね。

 その時は、実際に存在するものを勉強したいと思って、若干ぶれましたね(笑)。 大学最後の年に留学する機会があったのですが、留学先の大学では建築以外の授業も取ることができて、やっぱり映画を選んじゃうんですよ。 そうしたら改めて面白さを実感しましたね。小学生からずっと触れてきたものだから自信みたいなものもあったし、仕事にするならやっぱり映像だな…と、 大学4年の時に原点に戻ったようなものです。

ピクトさんに入社するきっかけはなんでしたか?

留学から帰ってきたのが大学4年の5月。そのときはもう企画部の募集は締切っていて、どうにかして潜り込もうと制作部の採用を中心に応募していたんです。 ただ、どうしても企画・演出をやりたいってバレてしまうのか、ことごとくダメで…。 最終選考まで残ったのがピクトだったのですが「ここまで来たのならもう嘘をつくのはやめよう」と思い、本当は演出をやりたいですって言って持っていた作品を見せたんです。 その熱意が伝わったのか、企画演出部で採用をしていただけました。


リマーカブル2013ではファイナリスト受賞。ドラマが多い中、モーショングラフィックを掛け合わせた作品が印象的でした。

自分も当初はドラマばかり書いていました。でも、社内で見せると、どれもダメ出しの連続。そこで得意なもので行こうと切り替え、 アフターエフェクトを使ったモーショングラフィックを使っていく方向にシフトしました。人を撮るにしても造形的なものや即物的なものの方が好きで、 実写もセリフなしでイメージに近いものにして、最後は人を感じさせるカットで終わるという構想が、漠然とですがその時に決まったと思います。
作品内の実写とモーショングラフィックの2つは、別々の構成というよりは虚像から実像にいくイメージで、1対1で鏡のようにコントラストで対比させるという構造を描きました。
実際、リマーカブルは自分の名刺になると思うんです。だから自分はこれが好きだとか、こんなことをしていきたいのだというものを前面に出して得意をアピールできたかなと思います。



その後は小林旭さんやジェロさんといったタレントCM・PVを経て、オークローンマーケティングの「シャークスチームクリーナー」。

厳密にいうと、これが初めて企画から通って演出に携わったCM作品なんです。
セットが立てられなく壁と天井だけCGで作り、真下からのアングルで、真上をグリーンバックにして人物を撮影して…というようなことをしたのですが、 技術的なところでスタッフみんなで知恵を振り絞って完成しました。スタイリッシュな世界観も出せてよかったですね。
ただキレイなだけじゃなく、ちょっとひっかかるものがあればいいなというのはいつも思っているので、小さな仕掛けとしてキャストさんに印象的な丸メガネをかけていただきました。 そういった細かいところも注目してもらえたら嬉しいですね。



「AQUA SOCIAL FES!」は現在進行中(2014年8月現在)ということですが、大変な点などを教えてください。

トヨタさんが展開している「AQUA SOCIAL FES!」は、地元の自然環境を保護・保全する地域社会貢献活動プロジェクトを地元のNPOや地元メディアと協力しながら行っている活動で、 2014年で3年目になります。社会貢献、販促の成果、さらにはCSRに近いプロモーションだということもとても画期的で、Cannes Lions2013のメディア部門にてゴールドを受賞しています。
2014年は日本各地の11か所を巡っているのですが、最初は本当に試行錯誤でしたね。
イベントに参加いただいている一般の方々に演技をつけずに、撮るのですが、画のクオリティは、CMや映画レベルにしたい。 これが本当に難しくて、カメラをぶんぶん振り回すと記録的になってしまうところを、どうメジャー感やスケール感を見せていくか…?と。

でも、人の表情で笑顔や真剣さが伝わってきて、イキイキとした映像だと感じました。

そう言ってもらえるとありがたいです。その通りで、単純な記録映像にしたり、いかにもCMというようにしないためには、やっぱり人の表情を伝えることで生まれる、 リアル感が重要なんです。子どもの表情、大人の表情、真剣さ、楽しさ、リラックス感…そういう自然な表情を撮り、繋げることは意識しましたね。


三浦さんの仕事に対するスタンスを教えて下さい

姿勢でいうと、「真面目にコツコツ」です(笑)。一時期は自己紹介などにももっとカッコいいことを書いていたんですけど、クライアントの方、代理店の方、制作の方…と、たくさんの方が関わる仕事で、そのすべての人の満足のために自分ができるのは「真面目にコツコツ」だなあと…。
作品でいうと、先述したリマーカブルのように、構成や構造をいじるのが好きで、前半にモーショングラフィックを持ってきて、 後半にリアルを持ってくるとどういう効果が生み出されるんだろう…とか、かなり考えるタイプだと思います。

尊敬する方や影響を受けたディレクターの方はいますか?

僕がADとしてついていた川上 信也さんは、「正しい広告」とか「正しい表現」という言い方をされる方だったんですけど、 印象的だったのが「正しい方向に導くのがディレクターの役目なんだ」という一言。 自分の思い入れも入れつつ、引いて見たときにクライアントさんや消費者の方々にとってどうかというのを天秤にかけてみたりもしますし、 表現的に面白い、尖っているというのも大事だけど、「みんなにとっての幸せとは何か」とか「正しさとは?」を愚直に考えるようになりました。
川上さんのあとについたのが関口現さん、真田敦さん、平井邦彦さんという、この世界に入る前から憧れていたほどの本当にすごい方々だったんですけど、その方々の考えや姿勢もやっぱりすごくて。演出方法を全部考えて、シミュレーションして、周りの人をどう説得したら角がたたないかとか、トラブルなく進める方法とか、そういったすべてが完璧。僕自身がそこにたどりつくためには、やっぱり「真面目にコツコツ」しかないんだと改めて感じました。

キャスティングについてはどうでしょうか?

“あがり”を考える姿勢は欲しいと思っています。何かを作る上では全体を見るスタッフが多ければ多いほどいいと思うし、 それはキャスティングの方にも例外なく当てはまること。僕個人としては、その方向が違っても全然よくて、新しい発見がある方が面白いです。
キャストさんでいうと、平均点を取る固い人よりも、ある部分が100点である部分が0点みたいな人の方が魅力的に見えたりしますね。 それを映像で強調できたら、自分の想像をとびこえてくれるんじゃないかというワクワク感がありますから。

最後に、今後のビジョンを教えてください。

自分が求めること、クライアントさんが求めることを一致させていきたいですね。そのために自分はどんなものが得意で、 何ができるか?を打ち出していきたいというのはあります。あとは、いろんな仕事をしながら見えていく部分もあると思うので、もっともっと挑戦していかないといけないですね。 CMに重きを置くのはもちろんのこと、サカナクションさんなどのロックバンド全般が好きということもあるので、PVもやってみたいなと思います。

ありがとうございました!




三浦 和徳氏 up

クリエーターズインタビュー

キャスティングのイースピリットがお送りする「クリエーターズインタビュー」広告業界で活躍するクリエーターの貴重なインタビューを掲載。今回は、三浦 和徳さんです。