（略）　　・・・��島夏来氏 　　・・・e-Spirit

��島監督は、どんな幼少期を過ごしてきましたか？

一度何かにハマるとやり続ける子どもでしたね。大・中・小様々なサイズのテディベアを手作りしたり、毎日根詰めてビーズや手芸をして、目を悪くしたり…。
両親が美術の教師をしていたことも関係があるのか、絵を描くことも好きで、鳥図鑑を見ながら毛の一本一本まで忠実に再現してみたり、浮世絵を精密に模写していたことも覚えています。

大学は美術大学でグラフィックデザインを専攻されています。

絵を描くのが好きだったのでグラフィックデザイナーになろうと思ってました。でも、入学すると上には上がいるなということを体感して（笑）。全国からセンスのある子が集まる中で、次第に自信を失っていきました。
そんなときに出会ったのが映像制作。今とは違い、撮影、編集、ナレーション、衣装づくりにロケ地探し…すべてを自分でやらなければいけなかったのですが、その行程がとても楽しかったんです。徐々に形になっていくというか、小さいころ感じていた“モノづくりを楽しむ”感覚が映像制作にはありました。

卒業後は東北新社に就職。

学生時代に感じたのが、先生や友達が作品を見たあとに“シーン”とする空気って耐えられないなということ。だからリアクションがあるものとか、クスって笑えるものを作ろうと思っていました。15秒、30秒の尺が苦痛な時間にならないように…、とにかく笑っていてほしいという思いが強かったです。
東北新社への入社面接の際も、学生時代に作り溜めたおバカ映像を見せました。自分の中で「笑い」は重要な要素でしたし、それが今の仕事につながっている実感もありますね。

白泉社　花とゆめ　花とゆめ40周年 　タイトル『あの人からのお祝い電話シリーズ』

高島さんの映像って、男目線のユーモアが混じっているように感じるんです。まるで、男性が住んでいるかのような。

ああ、男の部分があるというのはやっぱりよく言われますし、漠然とですがその感覚は意識していますね。実際、小さい頃はずっとショートヘアだったので男子に間違われるほどでしたし、家でモノづくりや書き物をすることが好きな一方で、外では男の子に交じってサッカーやターザンごっこをするなど男勝りな面もありました。自分の性格が作品にも出てるんでしょうね。

リマーカブル・ ディレクター・オブ・ザ・イヤー2014おめでとうございます。企画からストーリーの細部にいたるまで圧倒的でしたし、「たからもの」というテーマだと、どうしてもキレイにまとまりそうなところを、まさかの…というインパクト。

ああ、まさかの「エロ」（笑）。一番最初の発想が、ＣＭの仕事でやる機会がないというか、できないであろう「エロ」の要素を入れたいなというところでした。

これもやはり独特の男目線がカラーとなりながらも、作品の底辺を支えているのは構成力であって、同時に演出力だと感じました。

そう言っていただけると嬉しいです。単純にエロ本オチだったと言われたらそれまでですが、もう一つ伝えたかったのが、大量消費され、ともすれば使い捨てられている女性の存在。花盛りは短く、旬が過ぎたら人は次の新しい花に目が行ってしまう。それでも、必要とされることに喜びを感じている…。そんな切なさを表現しようと試みました。
受賞後には色々な方面から声をかけてもらい、みんな見てくれているのだなあと感じています。

リマーカブル・ディレクター・オブ・ザ・イヤー2014　　タイトル『捨てられて』

同年に日本科学未来館　Geo-Cosmos Content Contest（ジオ・コスモス コンテンツ コンテスト）で作品『Human beats』が最優秀賞を受賞されています。

これはGeo-Cosmosという球体ディスプレイの新たな可能性や表現方法を切り拓くことを目指して開催した、一般公募アワードなんです。
「Human beats」は、15秒のアテンション映像で、オムニバス・ジャパンとコラボレーションした作品です。私がコンセプト、企画演出をし、球体に映像を映す技術をオムニバスの技術チームに協力いただきました。
地球儀の裏側から無数の手がビートし、人間の持っている生命力、エネルギー、そして破壊力や恐ろしさを表現しました。 試みとしてもおもしろかったですし、コラボで新しい広がりが見えた作品になりました。

「Human beats」 ディレクター：高島夏来 モーショングラフィックス：河上裕紀（株式会社オムニバ ス・ジャパン）

キャスティングで意識していることなどはありますか？

その人が衣装を着てメイクして、ロケ地に立ち、台詞をしゃべった時にどう見えるか。ということを想像しながらキャスティングします。 企画によって見るポイントも変わるし、単純に好みで選ぶときもあるので毎回こうだというのはありませんが、オーディションでは私の頭になかった表現を発見したいと常に思っています。

今後の展望をお聞かせください。

自分の強みが、ユーモアがあって、ちょっとファンタジーのあるようなもの。絵は非現実的だけど、その中でのやりとりがリアルでユーモアがあるというバランスが好きなんです。その世界観をもっと突き詰めていけたらいいですね。
あとは、フィールドを狭めないで、やったことのないものにどんどん挑戦して引き出しを増やしたいです。自分としては“演出力”は何にでも、どんな分野にも活かせると思っているので、様々なコンテンツをやって自分の演出力を活かしていきたいと思っていますね。 CMで得たものを他分野に落とし込んだり、別の表現を吸収したいですし、そうやって得たものって、きっとホームであるCMの演出に戻ったときにも活かせると思うから。還元し合あって、高いクオリティの映像を生み出していきたいです。

本日はありがとうございました！