(略) ・・・鈴木千尋氏 ・・・e-Spirit タレントさんに対しての演出方法がすごいなというか、 タレントさんも各々イメージがあるから演出に関しても大変だとおもうのですが。どのような演出のお願いしているのですか? クライアントがどういうイメージを持ってそのタレントを起用したのか。 それをまず説明します。タレントさん自分自身は操り人形でも何でもない。ある程度、自分の意思を持ってるし、 事務所も明快なクオリティコントロールというモノをもっています。 そこのギャップを埋めるべく正味な話をするようにしています。『このCMではこの主旨を持ってやっていきたいんだ』と。 ご理解頂くということですよね。 ズルイ気持ちは絶対に持たないで、フェアに話を持っていきます。 すばらしいですね。 ちなみに、撮影現場を監督はどのように捉えていますか? 撮影の現場というのは、ある種、お祭りの舞台で、俺達にとっても晴れの舞台であって、みんなにとっても特別な瞬間だと思います。 |
監督が演出的に欲しい画を実際どのようにしてタレントさんや役者さんから引き出しているのですか? CMの中で、演者は状況を背負ってるいるほうが楽になるから、なるべく状況を背負ってもらうようにしています。 具体的にいうと 自分が何の役を演じればいいのかを理解してもらって、それを演じてもらう。その中での綺麗さを僕は追求していけばいい。 イメージに近い役を自認させることによって、いい表情を撮るってことですね。 そう。ある状況の中でのほうが、理解しやすいし表現も引き出しやすい。ただシンプルなバックの前で、 その人のきれいなところだけを撮っていくとか、綺麗を探していくってことは非常に労力がいるけどね。 演出手法で得意としているモノはありますか? 実は女の子を綺麗に撮るのが意外と得意だったりしてます。女の子を綺麗に撮る仕事ほど楽しい仕事はない。 綺麗に撮ることだけ考えてればいいから。 楽しそうですね。 すごくハッピー!化粧品関係の広告はものすごく大変ですが。 一般人が憧れる美を探し出す。 私もこうなれるってところがね。 「私もなれるかもしれない」っていうのを思ってもらえることが必要ですよね。 女性は一度、可愛いとか素敵って思うと、もうほぼ無条件にその商品を受け入れてくれるような土壌があると思います。 そのくせ、すごく反発するから駄目なものは絶対に駄目だし、生理的に受け付けない。 綺麗とか、可愛いってなっちゃった瞬間に、私もなれるかなっていうのが表に出てこないけど、 きっと何か働いて、やっぱりその商品に対しては気持ちよく思ってもらえる感じだと思います。 |
演出のこだわりをお聞かせください。 CMである以上は、様々な制約があってこそのCMであったりする。そういった様々なしがらみの中で、 その事情が撮っている画に見えるのはやっぱマズイよね。よくあるじゃないか。 見えちゃうこと。たまにありますね。 要は何て言うかな。『君が好きだよ』、ってストレートに伝えたら絶対に伝わるのに、 それが「君のことを好きだって人がいてさ。その好きだって人がいるんだけど、僕ももしかしたら君のことが好きかな」って、 要するに回りくどい言い方になってくるのがCM。僕はもっと好きって言いたいのに。 監督的に大事にされている思想、哲学ってありますか? あのね。そんなに高邁なものではないかもしれないけど、職人が好き。芸術家肌の人というよりも職人肌の人。 職人肌というのは具体的にいうと 無口で、人の声が届きにくいものに関して、声が届きにくいモノの声を聞きながら、 素材を最大限用意してあげるってのが、すごく好きなんだよね。やっぱりプロフェッショナルになりたいわけ。 派手さとは無縁かもしれないけど。 |