チャーミングな世界を描いた |
(略) ・・・辻川氏
・・・e-Spirit 辻川監督へのインタビューは2回目なのですが(1回目はこちらから)、 今回は、一緒にお仕事をさせていただいた「東京ガス」のCMをメインにお伺いさせていただこうと思います。 「東京ガス」に関しては、最初に企画コンテをもらったときに、いい意味で演出が詰められていないと思ったんです。 セリフ回りや企画でトリッキーなことをしていない点では王道であり、演出の幅を持たせてくれるように組んであると感じたんですよね。 僕はシンプルな企画を演出で肉付けするのが割と好きで、それができるのが面白いと思いました。 企画コンテの段階では、どのような流れでしたか。 まず「東京ガス」でやろうとしていることは、天然ガスは未来につながっているエネルギーであり、 低炭素社会を実現するためには、なくてはならない未来のエネルギーであるということを伝えること。天然ガスから電気を作ったり、 未来では水素で車を動かしたりといういわば夢の世界を表現するために、まず、クライアントさんの企画の意図をかみ砕いてファンタジーに 仕上げるというのが今回の僕の仕事だと感じました。 工夫された点はどこでしょうか?
“こうなってしまうとまずいな”というポイントを見極めることですかね。 人形劇にしようという発想はどうやって生まれたのですか?
ファンタジーをより表現できるということもあるのですが、主役となる子どもは長期間拘束できるキャストではないので、
日程なども考えると半分は人形がストーリーを進め、最初と最後のポイントのところで登場してもらうと撮影日が収まるのかな、
と思ったというのもありますね。 そのファンタジー感がいいですよね。 人って、足りなさ加減によっては想像を膨らましやすいものだと思うんですよ。今回なら、人形劇っていうルールの中で 動いて想像してもらっているので、あえて中の世界で手作り感を活かし、絵本の中の世界のようにしたんです。 難しかった点などはありましたか?
ガスを擬人化するのが難しかったですよ。ガスって気体じゃないですか。見たことないし(笑)。だから「GAS」って書いちゃいましたよね。 |
あえてキーワードの幅を持たせること |
キャスティングに関してはいかがですか。
僕は「こんな感じの人が欲しいな」というのを、あえてキーワードの幅を持たせ、クサビだけを出して伝えることが多いんです。
それでどんなカードを出してくれるのかな、というのを楽しんだりもしていますよ。 前回のインタビューでは「出演者へのテイクを重ねきれない」とおっしゃっていましたが。 そうですね。自分は、その人を型にはめたくないので、いいところを見つけて掘り出したいんですよね。 その人の良さが出ていないと思ったら、もちろん自然な形で何テイクか撮りますけど、「こういう演技をしてくれないと困るからこうしてくれ」って いうタイプではないんです。そうすることで委縮してほしくないですし。 確かに、辻川監督はオーディションの際も肯定して進めていかれていると思います。 そもそも、その人のできることをオーダーして、振れ幅の中でないものは要求しないというか。 存在感を大切にしたいので、こっちで型にはめてやりたいとは思わないですね。あと僕は割とオーディションに行くのも好きで、 プロフィールやファッションなどを見るのも好きなんですよね。 |
基本は、運とか偶然とか出会い |
他のCMではいかがですか。 やはり役者さんなりタレントさんの魅力を出したいので 追いこむことは少なく、会話しながらちょっと脱力した感じでやりますね。 だらっとした空気を出したい場合は、テイクも少なくしたり。まあ、今回の「東京ガス」でいうと、読み聞かせなので、 ある程度しっかりとやってくれる人をキャスティングさせていただいていますし、企画による部分が大きいので、やり方はバラバラなんですけどね。 リレーで映像を作ったり、本当に幅広いですよね。
何度か仕事をさせていただいているクライアントさんで、代理店を通さず、企業の方々と話しながらやっていくのですが、
とても楽しいですよね。企画会議でもみなさんが各々の意見を発して、クリエイティブにこだわっていて。そういうパワーっていいなと。 【作品詳細】 CL:東京ガス Dir:辻川幸一郎 〜あしたの話篇〜 〜あしたのあしたの話篇〜 |